パターンを写すときも、ミシンをかける前の生地をあわせるときにも使うまち針。
「まち針なんて、布をすくって留めるだけでしょ」
といえるほどに簡単な作業なのですが、もちろんそれだけでも用は足りますが、知っているだけでちょっとしたイラっとが解消されることもあります。
たとえば、私がよくやっていた失敗といえば、「何だかズレる」「いつの間にかズレる」という問題です。
- 知らないうちに型紙と、チャコで引いた線がズレている
- ミシンをかけ終わり、確認するとどこからかズレていて、ほどいてまた抜い直す作業
- ファスナーをつけるとなぜかズレていてやり直し(だいぶイラっとする)
1度ならず2度までも・・・っとイラッとしながら、何度もやり直していました。
まち針と仲よくなると、ちょっとした固定にもすぐつかってしまうくらい、 すぐそばにある便利で頼れる存在になると思います。
ぜひ、お裁縫をはじめたばかりの方はご一読くださいね。
Contents
基本のまち針の打ち方(針を打つ順番について)
まち針をうつ順番は、
1. 端(縫いはじめ) → 2. 端(縫い終わり) → 3.中央
が基本です。
だれに聞いても、どんな本にも、基本はたいていこの順番でまち針をうつように書いているはずです。
1と2の端と端にまち針をうったあと、3のまち針をうつ前に、2点をもって、ピッピッと軽くひっぱります。
上下2枚の布のゆがみを整え、まんなかに3のまち針をうちます。
あとはこの繰り返しです。
2点はすでに決まっているので、ピッピッとひっぱってまんなかにうつ、の繰り返しです。
基本のまち針の打ち方(布と針の方向)
生地の外側(裁断部)から内側に向けて針をさします。
縫い線の上からさしてもいいですし、縫い線をまたぐようにしてさしてもいいです。
どれぐらいすくう?
まち針をさして、1~3mmすくいます。刺したところから1〜3mmで出てくる感じです。
シーチングなどの薄い生地は、縫い線部分のまち針をうったあとに、残ったまち針先で先が動かないように、もう1回すくうとグラつかず安定します。
ツイードなどの厚い生地では、表と裏の針目の大きさが均等でない状態で正解です。
上の布にくらべて、下の布のすくっている量は「小さく(浅く)」なります。
どれくらい刺す?(押しこむ?)
基本はまち針の先だけをつかいます。
先がちょこっと布に刺さって、まち針の頭のほうがぴょーんと出ているのが正しいささりかたです。
奥まで(頭まで)さすと、ずれやすい、まち針が抜きにくいから、ということらしいです。
でも個人的には、薄い生地であれば抜きやすさはあまり変わらないような気がします。
むしろ、ほんのちょっとしかささない状態の時は
擦れたり、ちょっとした瞬間にポロリと落ちていることもあり
今だにどっちがいいのかはわかりません。
縫い線に対して「垂直(直角)」に打つ
90度を測る必要はないですが、チャコでひいた縫い線にできるだけ垂直になるようにまち針をさします。
身頃など範囲が大きい部分に対してまち針をさすとき、生地じたいの重さを考慮し、なるべく動かないようにまち針をうつ必要があります。平行やななめに針が打ってあると、可動域がおおきくなってしまい、ズレが生じることがあります。
逆に、小さなポケットのような丸みのあるパーツのときは、マチ針をどう打ってもあまり違いはありません。
それに、ミシンの際に自分側にたれた生地が太ももをさしたり、作業中に折れた布のちがう場所に勝手に刺さって(傷つけ)たりとややこしいことになることがあるためです。
もちろん、手を刺すことも増えます。
安易に、2箇所を1回で留めてしまおう!という考えで、縫い線にそってまち針をうってしまう(狭い範囲だが)と、ミシン針に近づくだいぶ前にまち針を取らなければいけません。
気づいたら表と裏の縫い線がずれていた・・・ということが容易に発生するので、この手法は避けましょう。
縫い線に対して「平行(縫い線にそって)」に打つ
市販の型紙によっては、平行にまち針をさすように書かれている場合があります。
おもに袖のパターンのまち針推奨位置や、袖にミシンをかけるときの注釈に書かれています。
垂直に打つというのがまち針の基本ですが、このように特別に書かれている場合は、縫いやすさや生地の特性などを考慮してのことだと思いますので、書かれている通りにしてみてください。
また、パターン裁断時であれば、
あえて平行にまち針をうつほうが、切りやすかったりします。
「ななめ」という選択肢はあまりないですが、裁断時に限っていえばまち針を平行に打つことはありですね。
よくやりがちなNGまち針(まとめ)
まち針で布を大きくすくう
- 布の重さや、作業中の負荷によって布がずれやすくなります。
ミシン時に、縫い線にそって平行にまち針をさす
- うっかり手を指す。
- まち針を抜くタイミングが難しいです。
- まち針を早めに抜くことになるのでズレやすいです。
- 布のバランスを見ているときや、布を触っているときにいろいろなところにささります。
まち針を適当に斜めにうつ
- 布の重さや、作業中の負荷によって布がずれやすくなります。
- 垂直に指すより負荷に弱い。
- 知らないうちに生地の変なところにもささってる。
- 知らないうちに抜けてる。
まち針を抜くタイミングについて
たまに、まち針を打ったままミシンをかけて良いと記載されていることがありますが、私はお勧めしません。
ミシン針という鉄の針に、まち針という鉄の針がかちあうわけですから、やっぱりどちかが折れます。考えてみればあたりまえのことなのですが、一気に縫う!とおっしゃる方もいます。
マチ針に近づいたら速度をゆっくりにして縫えば問題ない、とは言えいきおいそのままに一気に縫うことは危ないのでやめましょう。
折れた一方が、布に埋まったり、近くにポロリと落ちる程度なら、運が良かったと思ってください。
たいていは、どこかに飛んでいきます。
運が悪ければ、くちびるや目に・・・。
ということで、基本はまち針がミシンに近づいたら、まち針を抜きます。
私はけっこうギリギリに抜く派なので、まち針がアタッチメントに入りミシン針と出会う直前に抜いています。
おわりに
手間を惜しまず、しっかりまち針をうっていれば、ずれによる縫い直しや裁断まちがいを防げます。
クリップを使って仮止めすることもありますが、慣れたらまち針の方が楽だったりします。
作業効率も上がりますので、ぜひ、たくさん使って慣れてください。